人間力コラム

プレゼンテーションに欠かせないものとは?    12. 8. 8

私がサラリーマン時代に営業を行っていた時のことです。
秋葉原でふと足を止めた先に、デモンストレーターのおじさんが「調理カッター」の実演販売をして
いる光景が目に飛び込んできました。
そう、デーパートの催事場などでよく見かける実演販売です。
 私はおじさんの口上に引き寄せられるように、15、6人程度の輪の中に入っていきました。
鳴かず飛ばずの営業マンだった私は、どうしたら人前ですらすらしゃべれるのかに興味があり、
じっとその語り口に聞き入っていました。

 言いよどむことなく、そして聞き手を引き込むプレゼンテーションは、見事でした。
「あんな風に、お客さんの前でプレゼンができれば、、、」と思ったものです。
当時、20代半ばで独身だった私には「調理カッター」なんて必要ない物なのに、その商品がとても
魅力的に見えてくるではないですか。
 約10分程度のデモンストレーションが終わると同時に、「調理カッター」は次から次へと売れていき、
その光景に「これは、すごい!」と感動すらしました。

 人けもはけて、一段落したところで私はそのおじさんに勇気を出して質問をしました。
「さっきのデモンストレーション、お見事でした」
「どうやったら、あんなうまい話し方ができるんですか!」
「ヒントだけでも教えてもらえませんか?」
 今思い出しても、初対面のそういうプロの方によくもそんなことを聞いたものだなと思いますが、
そのあとの答えが今でも印象に残っています。

 「そうだな、いくつかあるけど、だれがカモになるかすぐに見抜くことかな」
私は話し方のことを聞きたかっただけに、思いっきり拍子抜けしました。
「あの、話し方は。。。」
「話し方?そんなの何回も練習してあの程度の話をするのは、この商売の基本だよ」
しばらく談笑したものの営業マンの私には、結局ヒントを聞き出すことはできませんでした。

 そのおじさんは、その後テレビなどでもたまに見かける有名人だったのですが、それよりも、そこで
教えてもらった真意に気付くのはそれから数年後でした。
カモというのはお人よしのことを指すのではなく、「キーマン」のことだったのです。
プレゼンテーションというと、当時の私もそうだったようにいかに上手にしゃべるかに注力されがちです。
しかし、聞き手にとっては「自分にどう語りかけたか」という印象の方が重要です。
そうです、キーマンに対してどうアピールするかがポイントだったのです。

 あなたはプレゼンの時に資料(モニター)と、相手の顔をどのくらいの比率で見ているでしょうか。
ここに、効果的なプレゼンを行うための技術が「アイコンタクト」があるのです。
次回は、このアイコンタクトの詳細について解説いたします。