人間力コラム

ほんの一言の習慣    10. 11. 25

社員研修においてプレゼンテーションのトレーニングはよく行われています。
当社の研修でも定番コースとして、受講者の変身振りを数多く見てきました。
いやいや、ここで研修の宣伝をしたいのではありませんが、最近ある傾向を強く感じているのです。
それは、プレゼンテーションはテクニックとして実践できる部分が多々あるため、それに気づきさえすればかなり効果的なプレゼンテーションができるようになります。
しかし、それは標準的な場面設定においてのことで、実際は相手が不機嫌だったり、あまり関心を持っていなかったり、人数が多すぎてキーマンが見えなかったりと様々なイレギュラーに遭遇すると、本来の力が発揮でないという声をよく聞きます。
つまり、状況対応力が非常に弱いのです。

今日、地元自由ヶ丘のインド料理店でランチをしました。
そこは、インド人ばかりで経営している本格的な店で、いつもは片言の日本語で注文を取るインド人がいたのですが、今日は新しい方(インド人)でした。
「今日は、遅いランチですね」
ちょっとびっくりしました、10年以上この店に来ていますが話しかけられたのは初めて。
どのテーブルでも同様に一言だけ簡単な会話をし、にっこり微笑む。
彼が料理を持って来たときに、今度は何か話しかけたくなり
「内装がだいぶ変わりましたね」というと
「もう3ヶ月になりますよ」そして、しばらく来てないでしょというちょっと探る様な表情で笑みで返してきた。

なんだかいつもよりちょっとだけ楽しく食事が出来ました。
このちょっとだけ幸せな感覚にしてくれた彼のことを考えると、そこには接客マニュアルがあるわけでなく、彼の人間力によるものだと思うのです。
テクニックとしてではなく、相手を観察して能動的に話しかけるということを習慣化しなければ、とっさの一言も表情もできないでしょう。
この一言声をかけるというコミュニケーションは、あらゆるビジネスパーソンにとって相手とのやり取りを円滑にする上で実践して頂きたい習慣です。

答えに行き詰まり提案しては打ち消され、また対案を考えるという堂々巡りの長い会議、「ちょっと、お茶でもしませんか」というひとことが出せますか?