人間力コラム

自分を売り込むためには    10. 3. 15

電車で移動していたときのことである。
リクルートスーツに身を固めピカピカの鞄を持った青年が隣に座ってきた。
これから、面接か説明会に行くのだろう。
でもこの時期じゃ、かなり遅いのでは。。。
今年は就職内定率80%と就職氷河期を下回るらしく、ぎりぎりまで活動を
している方も多いと聞く。

彼は、座るなり鞄から自分のアピールポイントと書かれたメモを取り出した。
覗き見するつもりはなかったが、大きな文字のそれは、すぐに内容を理解
することが出来た。
彼は、大学の体育会でテニス部の主将をしておりこれまで目的意識がばら
ばらであった部員を定期的にミーティングを行うことで結束力を高めたと。
飲食店のバイトでも、店長の信頼を得て他のバイトを束ね、
お店を盛り上げていた、といった内容だった。

私はふと、もしこの彼が自分の会社に面接に来た場合、こうしたアピールに
関心を示すだろうかと考えた。
確かにリーダーシップのようなものは感じるが、この程度のことは面接に来る
方からは、うんざりするほど聞かされる内容で、「だから何」と言いたくなる。
私の会社にくる求人の問合せもこの彼とよく似ている。
自分のスキルや考え方や行動や実績をよく見せるのは分るが
採用されるには応募者の中から選ばれなければならない。

自分は自分はといった主観的な視点よりも客観的な視点が必要であり、
アピールもしっぱなしではなく、結論としてだからこんなことが貢献できるとか、
そうしたスキルを活かしながらこんな事業でこうしてみたいといった具体的な
プランを提案するくらいの落ちが欲しい。

少々的が外れててもいい、相手が何を欲しているかを汲み取ることをむしろ
アピールすべきではないだろうか。
青山1丁目で降りていった彼の背に、そうエールをおくった。