人間力コラム

Help him!    09. 9. 1

私が少年サッカーをしていたころの話です。
所属する小学校のチームは、九州の大会でも優勝するほどの強豪でした。
4年生から入部し、2年間はみっちり体力や基本的なテクニックを反復練習し、その中から選抜されるものだけが、6年生になってレギュラーになれるという私にとってはじめての団体競技の経験でした。
辛い練習の中にも数々の思い出と共に、今でも鮮明に思い出されるのが、合宿練習の時に聞いたコーチの講話。

 

「君たちはHelp himっていう意味は分るかな?」
続けてコーチは、サッカーはいくら個人技が高い選手ばかり集まっていても勝てない。
むしろ自分がボールを持っていないときに、ボールを持っている選手がパスやシュートを打ちやすいように動くことがチームを勝利に導く上で最も重要のだという。
例えば、ドリブルをしている選手がパスを出しやすいように、その選手より前方に相手ディフェンスがさえぎらないところに走っていく。
また、シュートを打ちやすいように相手選手を自分に引き寄せてコースを空けさせる。
このようにちょっとした動きでいろんな戦術の展開が見えてくる。
「彼を助ける」という「Help himの精神」は、リフティングの回数や、ドリブルでどのくらい早く走れるかに没頭していた私にとって、それは新鮮で目からうろこの話だった。

 

ビジネスの組織論はよくスポーツに例えられる。
部門間における業務問題、業務の効率化、コミュニケーショントラブルなど等、多くの場合この「Help him」の精神の欠如が職場にあるからではないだろうか。
ボールを持って切り込んでいっても、パスする相手がいなくて自滅。
パスしようにも、遠すぎて届かない。
職場においても個人技を磨くだけでなく、チームプレイの精神も重要なのだ。